【相続】
昨今では超高齢社会(人口の内、65歳以上の割合が21%を超える)を迎えると言われ、今後相続問題を抱える家庭の数は増える一方です。しかし、手続きは煩雑であり、膨大な時間と労力を使ってしまうことが懸念されます。相続の流れ?相続の方法?遺産分割協議?法定相続分?分かりませんよね。そうです。分からないことを理解することから始め、理解してからご自分で相続を開始します。まずは、簡単に流れをご紹介いたします。
【相続の流れ】

①相続人調査の注意点
必ず戸籍を読み解きましょう。後に行う遺産分割協議は相続人全員で行わなければなりません。遺産分割協議後に思わぬ相続人の登場といったケースも少なくありません。そうなればその遺産分割協議は「無効」となります。また、戸籍収集は相続人のものなら容易に集めることができるかもしれませんが、被相続人のものは容易ではありません。出生〜死亡までの戸籍を要し、大正時代の戸籍や法改正による戸籍の変動、婚姻による再編など様々な事情がありますので知識なしでは太刀打ちできないでしょう・・・。
②相続方法の決定
相続の方法には上記図のように3種類あることはご存知でしょうか?
・単純承認
(i)意義・効果
相続人は、一身専属的な権利(例:公営住宅の使用権、生活保護受給権など)を除いて、被相続人の一切の権利義務を包括的に承継します(民放896条)。したがって、被相続人に借金がある場合、相続人は自己の財産で弁済しなければいけません。
(ii)手続き
申述や届出などは必要ありません。次の一定の事由がある場合に当然に単純承認したとみなされます。
(イ)相続財産の全部又は一部を処分した場合
(ロ)熟慮期間の経過(相続開始を知った時から起算して3ヶ月経過した場合)
(ハ)背信的行為(相続人が限定承認や相続放棄をしたあとで相続財産の全部又一部を隠匿し、これを消費し、又は悪意でこれを財産目あああ録に記載しなかった)
・限定承認
(i)意義・効果
相続した財産の範囲内で被相続人の債務を弁済し、余りが出た場合は相続ができるという合理的な制度ですが、手続きが煩雑な上に、さらに相続人全員で行わなければなりません。よって実はあまり利用されていない制度なのです。
(ii)手続き
(イ)熟慮期間内に財産目録を調整する。
(ロ)相続人全員で家庭裁判所に限定承認の申述をする。
(ハ)債務者に債権の申出を催促するなどの手続きを行う。
・相続放棄
(i)意義・効果
相続人が相続開始による包括承継の効果を全面的に拒否する意思表示です。相続放棄をした者は「初めから」相続人にならなかった者とみなされますので、代襲相続(孫などへの相続)をすることもできません。
(ii)手続き
熟慮期間内に家庭裁判所にその旨を申述する。
③遺産分割協議とは?
「相続財産をどのように分けるのか」を相続人全員で決める話し合いのことです。この話し合いでまとまらなければ家庭裁判所において遺産分割を行うこととなります。
基本は遺言書があればその通りに分割します。遺言書がなければ法定相続分に則って分割することになります。しかし実際は、相続人全員の話し合いで合意すれば、遺言書の内容通り、また法定相続分に拘る必要はなく、相続財産をどのように分けても構わないのです。しかし、遺留分といったものもございますのでそちらにも気をつけなければなりません。遺産分割協議に関しましては、下記の図を参考にしてみてください。
